暖房全般に関する質問
暖房はしているが、何となく暖かさが物足りません。どうしてですか?
「暖房はしているが、何となく暖かさが物足りない」というのはよく聞かれることですが、実は非常に難しい問題です。しかし、考えてみれば、最も基本的で重要な問題であるように思います。ここでは、問題を整理しながら順に考えてみることにしましょう。暖かいとか寒いとかいうわたしたち人間の温感は、おもに次の四つの要素によって多様に変化すると言われています。
わたしたちの生活環境は、これら四つの要素が様々にかかわりあってできあがっています。たとえば、温度、湿度、ふく射熱が適当であったとしても、気流が大きすぎて風を感じるようですと肌寒く思われたり、乾燥感がしたりします。ふく射の量が不足している場合は、室温のわりにあまり暖かくないといった現象が起こります。このように、わたしたちの温感は、これらの要素によって様々に変化しますので、四つの要素をいかに調和させ、最適な環境をつくりだすことができるかが重要なのです。
室温
温感に大きく影響するのはもちろん温度ですが、冬の暖房時に快適と感じる温度は一般に16~22℃とされています。個人差もあり多少の違いがありますが、室内の温度が18℃以下では寒いと感じたら室温を上げることを考えて良いでしょう。しかし、室温が20~22℃程度に上がってもなお寒く感じる場合は、後述するように周囲からの冷ふく射や、すきま風、コールドドラフトなどによるものと思われます。
すきま風
暖房中の室内に侵入するすきま風が多いと、暖房効果を著しく低下させます。冷たいすきま風は、床面近くを這いますから、足元が非常に寒く感じます。
室内の上下温度差
室内の温度むらも暖房効果を低下させる大きな原因となります。たとえば温風などで暖房する方式ですと、暖かい空気は上方へ、冷たい空気は下方へ移動しますので、室内の上下温度差が大きくなります。顔は暑いのだが、足元が寒いという状態が起こります。
冷ふく射
室温が適当であっても、室内の壁や窓ガラスなどが冷えていますと人体から多くの熱が奪われますから寒く感じます。これを冷ふく射と呼んでいます。建物の断熱処理を十分行い、室内側の周囲の表面が冷え過ぎないようにすることが大切です。
コールドドラフト
窓は壁に比べ断熱が難しく、ガラスの表面はかなり冷えています。そして、窓ガラスの表面で冷やされた空気はコールドドラフトと呼ばれる冷気となって足元を冷やします。窓はしっかり締めているのにすきま風のような冷気を感じる場合は、このコールドドラフトによるものです。このコールドドラフトを止める良い方法は、パネルヒータを窓下に取り付けることです。
ふく射熱
ふく射熱が出るパネルヒータなどで暖房すると、室温は多少低めでも暖かく感じるので、大変効果的です。
暖かい家を造りたいのですが、どのようなことに注意したら良いのですか?
家中が暖かくて快適な住まいは、厳しい冬の寒さを忘れさせてくれます。快適な冬の生活をエンジョイするためにも、“暖かい家づくり”を考えたいものです。
家の防寒対策
室内の空気の温度を上げるだけでは、暖かい家になりません。周囲の壁や床、天井などの表面温度が低いと、いわゆる底冷えがして暖かさが感じられません。暖かい家にするには、まず家の防寒対策が必要です。
壁や床、天井などには充分に断熱材を入れたいものです。窓も2重ガラスやLow-eガラスにしたり、厚手のカーテンを掛けたりして防寒対策を施すことが重要です。また、建物の気密性も暖かさを保つために不可欠ですから、大工さんには、隙間のないしっかりした家を造ってもらわなくてはなりません。
暖房方式の検討
家が防寒対策されていても、暖房がいいかげんでは暖かい家にはなりません。ふく射暖房によるセントラルヒーテイングがおすすめです。
ふく射式セントラルヒーティングとは?
ふく射式セントラルヒーティングは、パネルヒーターによる方式と床暖房方式とに大別されます。熱源としては温水を利用するのが一般的です。
ふく射熱は太陽熱と同じ熱ですから、やわらかい暖房感が得られ、室内の塵埃量も少なく、空気を汚しませんから衛生的です。ふく射熱は室内を均一に暖めますので足元も暖かく快適です。
ふく射暖房の特長 | 理由 |
---|---|
静かで穏やかな暖房感 | 燃焼や送風がなく、駆動音がしない |
空気を汚さず衛生的 | 燃焼がないためがないため排気がない |
乾燥感がなく快適 | 送風せずにふく射と自然対流により部屋を暖めている |
火災やヤケドの心配がない | 火や温風を使わない |
暖房費が節約できる | ふく射の影響により、室内が均一に暖まる ふく射の影響により、室温が多少低めでも暖かく感じる サーモスタットバルブを使用することで、部屋毎の温度調整がしやすい |
部屋の温度は何度ぐらいに保つのが良いのですか?
夏は内外温度差を、5℃前後に取るのを標準としています。しかし冬は、ふく射暖房を例にとると、外気温に関係なく、室温は20℃前後に保つようにします。北海道のように寒さが厳しい地方では、室温を少し高めにしてもよいでしょう。
表は、代表的な部屋の標準的室温を示しています。お年寄りがいるとか子供が多いとかいう家族構成などによって、最適な室温を決めていただければよろしいかと思います。
使わない部屋まで暖房するのはちょっともったいないような気がすると思いますが、暖房効率や、結露防止の面からいいますと、セントラルヒーティングで全室を暖房する方法が大変効果的です。
使わない部屋は多少低めの設定温度にするなどしてもいいかと思いますが、部屋と部屋の温度差を余りつけないようにした方が良い結果が得られると思います。
部屋名 | 室温(℃) |
---|---|
居間 | 18〜22 |
応接間 | 18〜22 |
寝室 | 14〜16 |
書斎 | 18〜22 |
子供部屋 | 16〜20 |
キッチン | 18〜20 |
食堂 | 18〜20 |
洗面所 | 16〜18 |
ホール | 14〜16 |
トイレ | 16〜18 |