陽だまり column

暖房のちょっといい話

Vol.2
暖房の種類と特徴

室内環境は使用する暖房方式により、大きく変化します

現在私たちの周りには、数多くの暖房方式が存在します。従来からのストーブ暖房を発展させたファンヒーターから冷房にも使えるエアコン方式、パネルヒーターや床暖房を活用したセントラルヒーティングまで、そのスタイルはさまざまです。それぞれの暖房方式による暖かさや室内への影響は大きく異なります。

暖房の種類と特徴・画像1

暖房器具の分類

暖房の種類と特徴・画像2
  1. 全体暖房:部屋全体を暖めるタイプの暖房器具で、暖める能力が高いことからそれぞれの部屋や場所でのメイン暖房器具として使われるタイプの暖房器具です。
  2. ふく射式暖房:ふく射熱を利用する暖房
  3. 対流式(強制)暖房:暖房器具で温められた空気をファンなどで強制的に循環させることにより部屋を暖める暖房
  4. 部分暖房:一部の限られた場所を暖めるタイプの暖房器具で、補助的な暖房器具として使われることが多い。

暖房器具の比較

ここでは、全体暖房の代表的な暖房器具を取り上げ、暖房方式や室内環境の観点から比較します。

暖房の分類 自然対流・ふく射式暖房 対流式(強制)暖房
暖房の種類

パネルヒーター

床暖房

エアコン暖房

温水ルームヒーター

暖房方法 温水式と電気式のタイプがある。
温水式:熱源機で加熱した暖房用の温水を、暖房用のポンプでお部屋に設置したパネルヒーターに循環させ、その熱を利用して暖房する。
電気式:オイルまたは電熱線が入ったパネルヒーターを電気で加熱して暖房する。
温水式と電気式のタイプがある。
温水式:熱源機で加熱した暖房用の温水を、暖房用のポンプで床に埋設したパイプ又は床暖パネルに循環させ、その熱を利用して暖房する。
電気式:発熱体を組み込んだパネルを床に内蔵し、電気を通してその発熱体が熱を発することで、床が暖まる。
室外機を使って冷媒を圧縮→液化させ、また逆に膨張→気化させることで、それに伴う温度の変化を利用して室内の気温をコントロールする機械を使い、暖房する。 屋外の熱源機(灯油・ガス)でつくった温水を屋内の室内機に送って循環させ、温風でお部屋を暖める。
暖かさ 速暖性
ムラなく暖め
暖かさの持続
※暖房を切ってもしばらく
暖かさが継続する
窓からの冷気対策 × × ×
コメント
  • ふく射熱で直接身体を暖めます。 気流が小さいため身体から奪われる気化熱の量が少なく、穏やかな暖かさを感じる。
  • ふく射熱の効果により室温より体感温度が高く感じる。
  • 窓下にパネルヒーターを設置することで、対流熱によりコールドドラフトを防ぎます。また室内側の窓表面温度が下がらないため、冷ふく射が少なくなり、結露抑制にも効果的。
  • 立ち上がり(部屋が温まるのに)時間がかかる、間欠運転は苦手。
  • ふく射熱で直接身体を暖めます。気流が小さいため身体から奪われる気化熱の量が少なく、穏やかな暖かさを感じる。
  • 床表面温度の立ち上がりは比較的早い。
  • 常に身体と接する暖房であるため、低温火傷の可能性を考慮すると、床表面温度が30℃前後までとなり、部屋全体を温めるには高気密高断熱住宅が必須。
  • 窓面からの冷気に対し対処が難しく影響が大きい。台所等足下のみの暖房では効果が大きい。
  • 立ち上がり(温風が出るまで)は比較的早い。
  • ふく射がほとんどなく、気流を感じるため、設定温度に対し体感温度が上がらず過剰な運転が目立つ。
  • 室内の上下で10℃前後の温度差ができる。
  • 窓面からの冷気に対し対処が難しく影響が大きい。
  • 温暖な地域の間欠運転に適している。
  • 吹出しが低い位置にあるため、暖かさを感じやすい。
  • ふく射がほとんどなく、気流を感じるため、設定温度に対し体感温度が上がらず過剰な運転が目立つ。
  • 室内の上下で10℃前後の温度差ができる。
  • 窓面からの冷気に対し対処が難しく影響が大きい。
  • 間欠運転に適している。
室内環境 乾燥しにくさ × ×
空気のきれいさ ×
コメント
  • 風を出さないため肌が乾燥しにくく、ホコリが舞いにくい。
  • 部屋毎の温度差が生じにくいため、寒さを感じることが少ない。
  • 風を出さないため肌が乾燥しにくく、ホコリが舞いにくい。
  • 暖かい床面はダニ等の温床となる危険があり注意が必要。
  • 温風による暖房は、乾燥感が強い。
  • (温風を噴き出す為)ほこりが室内に漂いやすい。
  • 吹出しが低い位置にあるため、直接温風を受け、乾燥感が強い。
  • 床面に沿って送風するため、ほこりなどを巻き上げてしまう恐れがある。
静謐性 静かさ × ×
コメント 風が出ることによる騒音もないので、静かに快適に過ごせる。 風が出ることによる騒音もないので、静かに快適に過ごせる。 ファンによる稼働音が生じる。 ファンによる稼働音が生じる。
熱源 温水式:電気、ガス、灯油が利用可能
電気式:電気
温水式:電気、ガス、灯油が利用可能
電気式:電気
電気・ガスがあるが、住宅では電気が一般的 灯油、ガス
室温調整 各部屋ごとに温度設定ができる
床表面温度を制御するため、室温の制御が難しく、補助暖房が必要になるケースがある
  • 各部屋ごとに温度設定ができる
  • スマホで操作できるモデルもある
各部屋ごとに温度設定ができる
設置スペース
  • 熱源機としてボイラーが必要(灯油を使用する場合は灯油タンクも必要)
  • 壁面設置となるため家具等の配置に制約がある
  • 熱源機としてボイラーが必要(灯油を使用する場合は灯油タンクも必要)
  • 電気式の場合、重量物の配置計画が必要
  • 使用できる床材に制約あり
  • 広い部屋に適しており、小さい部屋への設置は難しい
  • 室内機1台に対し、室外機1台が必要
  • 熱源機としてボイラーが必要(灯油を使用する場合は灯油タンクも必要)
耐久性 稼働部分が無い本体は30年以上、ボイラー約10~15年前後 稼働部分が無い本体は30年以上、ボイラー約10~15年前後 約10~15年前後 ボイラー約10~15年前後
設置のタイミング 新築 新築 新築 新築
既設 既設 既設 既設
イニシャルコスト 比較的高い 高い 安い 比較的安い
その他の特長
  • セントラルヒーティングで建物全体をクリーンかつ効率よく暖める暖房に適している。
  • 掃除の手間がかからない
  • 冷房もできる
  • 電気代あたりの暖房能力は効率的
  • 全館空調の場合、施工が難しい
  • シーズンオフには、室内機を簡単に取りはずすことが可能。
  • 固定式の暖房機とは異なり、室内機の向きを自由に変更可能。

温水を利用したセントラルヒーティングが おすすめ

快適空間のために効果的なセントラルヒーティングは、快適性、衛生面、安全性、静謐性、経済性などが高く評価されているふく射式が、おすすめです。

ふく射式セントラルヒーティングは、パネルヒーターや床暖房を利用したものがあります。

一般的には温水式が多く、ボイラーで温められた温水を効率よく室内に取り入れ、暖房を行います。特長は、ふく射熱のやわらかな暖房感と高い安全性、得られる暖かさは実際の室温よりも暖かく感じるため、設定温度を抑えることができ、エネルギーの節約にも繋がり経済的です。

放熱効果は長年使用してもほとんど変わることがありません。シンプルなシステムを組むことができるため耐久性にも優れています。

※セントラルヒーティングとは
一般的には全室(全館)暖房方式のことです。ひとつの熱源(ボイラーやヒートポンプ等)から熱を供給して複数個所を暖房するシステムを指します。

暖房の種類と特徴・画像3
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