インタビュー❷ Christer Harrysson教授(エレブルー大学教授)
Christer Harrysson教授は、スウェーデンのエレブルー大学でエネルギー技術の講義を行う有名な研究者であり、様々なエネルギーシステムや熱源、放熱器のエネルギー消費について広く研究を行っています。
この研究は、様々な熱分配システムの機能についての知識を増やし、明確かつ独自の見識を得るための最も重要な手段の1つです。それにより、多様な解決策に順位を付けることが可能になります。
私たちは、スウェーデンのクリスチャンスタード市(Kristianstad)で1980年代半ばから1990年にかけて建てられた130世帯を対象に、1年間のエネルギー消費について研究を行いました。対象の住宅を建築方法、換気方法、暖房システムなどで6ブロックに分類し、電気や温水、暖房システムのエネルギー消費を綿密に調査したのです。その結果は納得のいくものとなりました。使用した暖房システムが違うと、エネルギー消費量が最大で25%も違っていたのです。
そして、この研究の主な目的は、異なるタイプの暖房システムのエネルギー効率や、これらのシステムによって得られる快適性(快適な暖かさ)の違いを明らかにすることでした。私たちは、床暖房と温水パネル暖房の記録結果を比較し、住人への聞き取り調査を行って、温水パネルヒーターを使用した暖房の家のエネルギー消費量がかなり低いという結果を得たのです。合計(暖房システムや温水、家庭用電気のためのエネルギーを含む)で、測定した平均エネルギー消費量は115kWh/m²でした。一方、床暖房を使用する家の平均エネルギー使用量は134kWh/m²でした。要するに、私たちのデータによれば、温水パネル暖房のエネルギー消費効率は、床暖房よりも15~25%高いのです。測定データからも、この15〜25%の差は、コンクリート床タイルの下に200mmのポリスチレンフォーム断熱材を敷設した床暖房の家と相関していることが分かりました。
この研究の最も重要かつ重大な最終目的は、建築工、メーカー、設備業者がその技術や知識を駆使し、明確で分かりやすい情報を住人に提供できるようにすることです。それに加えて、住人がどれだけ快適に過ごせるかということが、新築の建物だけでなくリノベーションした建物でも、エネルギーのパフォーマンスや消費量と同様に重要であることも分かりました。これは、プロジェクトのプランナーや建設業者だけでなく、新築建物のオーナーや設備管理者の方々も考慮すべき事項です。
備考:本研究における家は、ドイツのEnEV2009規制に準拠して断熱を施した建物に匹敵する。