工場の建設プロジェクトを任されたが、何から始めていいかわからない。このページを見ている中には、こうした悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。工場建設には数多くのタスクがあり、まずは手順をしっかりと頭に入れて進めていくことが重要です。この記事では、工場建設の実際の流れや 注意点についてまとめました。
工場建設は規模が大きく手順が複雑になりがちなので、まずは大きな流れを理解しておくことが重要です。一般的に、工場を新設する場合は以下のような流れに沿ってすすめていきます。
工場を新しく建設する際は、まずその目的を明確にすることが重要です。現在使っている工場が老朽化しているのか、事業拡張や生産を増やすことが目的なのか、または現状の生産ラインに課題があるのかなど、なぜ工場を建設したいのかをはっきりさせましょう。
工場の建設は、すべてこの基本計画で設定した目的に沿って行われます。工場が完成して稼働し始めてから「やっぱり生産ラインに課題があった」ことに気がついても、内容によっては改善するのが難しいケースもあります。途中で設計案を変更して予想外のコストが発生したり、変更によるスケジュール遅延を起こさないためにも、初期段階で明確なビジョンを持っておくことが重要です。
新設する工場の方向性や目的の洗い出しが終わったら、早い段階で業者選定に入っておきましょう。業者を選ぶ際は見積もりに注目しがちですが、価格だけでなく実績やその後のメンテナンスも考えて信用できる会社を選ぶことが重要です。
工場建設は一般的な住居の建設と異なり、建築基準法以外にも工場立地法や都市計画法などクリアしなければいけない法律が数多くあります。こうした法律に精通していない場合、専門家の知見に頼るという意味でも実績のある業者を選ぶことをおすすめします。
このステップでは基本計画の内容にもとづいて、大まかな設計を行っていきます。具体的には建物の構造図や場内のレイアウト図、従業員の動線設計図、フローシート、機器仕様書、機器構成図、電気・計装概要図などを作成します。
基本設計の際は、現在のワークフローや従業員の動線、働きやすさなどをイメージし、それを踏まえて設計を行っていきましょう。基本設計は工場の生産性を最大化し、従業員が働きやすい環境を実現するためにも重要なステップと言えます。
実施設計は、前ステップで作成した基本設計に沿ってより具体的な設計を行っていくステップです。具体的には機械の詳細配置図や建築設計図、機器製作図、配管図、配線図などを作成していきます。電気の必要容量や照明、換気設備、冷暖房設備のほか、工場を稼働するのに必要な給水容量や排水容量なども踏まえて詳細を決めていきましょう。
工場の詳細な設計が終わったら、建設資材や機材、部材などを調達する段階に入ります。建築資材の選定は、コストだけではなく安全性や性能のほか、将来的に補修や交換が必要なった際にも調達可能かどうかなど、入手性を考慮しておくことが重要です。
建設工事をスムーズに進めるためには、しっかりとした工程管理が重要になります。工場の建設においては、工程が少し遅れただけで大きな損害につながるケースも少なくありません。そのため、工程管理は施工管理者に任せきりにするのではなく、発注側もしっかりと把握し、遅れが生じたときは迅速に対応することが大切です。
工場の建設工事は、主に地盤改良工事、基礎工事、土間工事、鉄骨工事、屋根工事、外装工事、内装工事、建築設備工事の手順で行われます。施工管理者と綿密にコミュニケーションを取りながら、現在どの段階にあるのかをしっかり把握しておきましょう。
建設工事完了後に特定行政機関による検査が行われます。この検査で問題がないことを認められてはじめて、工場の使用許可が下りるという仕組みになっています。官庁検査の内容は建築物、設備機器、消火設備、防火設備、配管など多岐にわたりますが、一般的には以下のような視点で検査が行われます。
検査に合格したら、晴れて工場を稼働できるようになります。事前に設備や機器の試運転を行い、不具合がないか、問題が発生していないかなどをしっかりと確認しておきましょう。万一問題がある場合は、今後の業務にも大きな影響を与えるため、納得できるまで調整・改善を行うことが重要です。試運転後、問題がなければ工事施工業者からマニュアルや図面などを受け取り、工事完了となります。
工場を建設する上では以下のポイントに注意することが大切です。
工場を建設するうえでは、近隣に住む住民の理解を得ることがとても重要です。工場を建設する際は工場立地法や建築基準法、都市計画法といった法律を遵守することは当然ですが、これらの法律の基準に則って計画を進めたとしても、必ずしも住民が好意的に受け入れてくれるとは限りません。
工場はさまざまな製品の生産活動を行うという性格上、騒音、振動、異臭などが発生しやすく、工場が新しく建設されるとなると近隣に住む住民も不安を抱えています。こうした住民の声を放置したままにすると、損害賠償や立ち退きを求めるトラブルにつながるおそれもあります。
継続的に事業を続けていくことを考えると、近隣住民とのトラブルは避けるべきものであることは言うまでもありません。工場を建設する際は、周辺住民に対して説明会を開催したり、納得してもらえるまで対話に応じるなど、住民に配慮した対応が必要となります。
工場の建材や設備を選定する際は、イニシャルコストだけではなくランニングコストやメンテナンス性を考慮して選ぶことが重要です。工場は工事完了すれば終わりというわけではなく、むしろ重要なのは稼働後のランニングコストや、補修や交換が必要になった際に同じものが入手できるかといった点にあります。
メンテナンス性が高く、さらにランニングコストをおさえられるような設計にすることで、将来的にかかるコストをおさえることにもつながります。
先にも紹介しましたが、設計会社を選ぶ際には専門知識があり信頼できる会社を選ぶことが重要です。業種についての知識や工場の建設実績がどれだけあるかも重要な選定ポイントとなります。
特に法律に関しては専門性の高い知識が必要となることも多いため、設計会社だけでなくコンサルタントのサポートを受けるのも選択肢のひとつです。
工場建設は多くの人とお金が動くプロジェクトで、それだけにプレッシャーを感じる方も多いかもしれません。ただ、基本計画から本稼働までの流れをしっかりと頭に入れて、一つひとつタスクをこなせば確実に達成できるプロジェクトです。どのような工場を作るのか、まずはしっかりと頭にイメージすることからはじめてみましょう。
弊社では工場の新規建設や運用に関するさまざまなサポートを行っております。工場に関するお悩みや疑問は、お気軽に当社までお問い合わせください。
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